2019年度第70回大会若手企画部会について

テーマ「21世紀の社会学理論の課題を考える――複雑性理論を経由して」

趣旨

理論社会学における古典的なテーマは、個人と社会の関係をどのように理論化するかという点にあったと言ってよいだろう。この問題については、古くは方法論的個人主義(ウェーバー)と方法論的集合主義(デュルケーム)の対比によって様々な議論が行われてきた。そして現在に至るまで、現象学的社会学や社会システム論といった議論の蓄積がなされてきたが、ルーマンの社会システム論以降、社会を包括的に捉える社会理論の目立った展開が見られないことも指摘されている。では、こうした理論社会学の閉塞状況において、いかなる社会学理論が求められ、いかなる理論的基盤に立つことが求められているのだろうか。本部会では、自然科学における複雑性理論を取り入れた社会学理論(ex. アーリ『グローバルな複雑性』)を中心に、社会の動的なダイナミズムを理論化しようとする潮流が近年高まりを見せていることに着目する(Cf. 桜井 2017)。そして、各々の登壇者の学説史・理論研究をこうした理論的潮流を経由して検討し直すことによって、従来の社会学理論をいかなる形で刷新することができるのかについて一定の道筋を示すことを目的とする。(参考文献:桜井洋、 2017、『社会秩序の起源――「なる」ことの論理』新曜社.)

企画者 金瑛(関西大学非常勤講師)

登壇者

  • 司会・第一報告:金瑛(関西大学非常勤講師)
  • 第二報告:梅村麦生(日本学術振興会 特別研究員-PD)
  • 第三報告:村田賀依子(奈良女子大学非常勤講師)
  • 第四報告:金信行(東京大学大学院/博士課程)

(研究活動担当理事 石田淳)