2024年度第75回大会シンポジウムについて

第75回大会シンポジウムは、「これからの社会、これからの社会学」を共通テーマとする2つのシンポジウムを準備しています。

シンポジウム1 「人口減少社会に生きる/活きる社会学」

過去150年にわたり増加を続けてきた日本人口が減少期に入った。明治初頭に3500万人だった日本人口は1930年には6500万人、1970年代には1億を突破したが、2008年から下り坂へと転じると減少傾向は急速に進み、日常的にも人口減少社会であることを実感せざるを得なくなった。

人口減少社会の始まりは日本だけの問題ではない。世界人口は、現状の80億人から100億人まで増えると言われているが、長期的には増加するのはアフリカのみで、それ以外の地域は遠からず人口減少社会に突入する。つまり人口減少社会を考えることは、日本のみならずこれからの世界を見通すことに通じる。このような現状認識に立ち、本シンポジウムでは人口・家族・ケアという観点から、これからの社会、これからの社会学を考える。

第一報告では、本シンポジウムの土台となる人口学的変化を長期的視点かつグローバルな視点から検討し、現在地のもつ意味を考える。第二報告では、持続可能な家族政策・労働政策としての育児休業という観点から「父親の育児参加は日本を変えるのか?」を検討する。第三報告では、文化人類学的観点からのフィンランド島嶼部におけるフィールドワークをもとに、人口減少社会のなかで、いかにして高齢者を支えていくのかを、介護の担い手・受け手のありようから検討する。

報告者

平井 晶子(神戸大学)

中里 英樹(甲南大学)

髙橋絵里香(千葉大学)

討論者

筒井淳也(立命館大学)

司会

大山小夜(金城学院大学)

(研究活動理事 平井晶子・大山小夜)

 

シンポジウム2 「関西における<社会>の発見と自由な知の創造」

社会もしくは社会的なものという視角は、産業化あるいは資本主義の浸透によって生じるさまざまな問題を社会問題として把握することによって生まれる。したがって、社会に関する知は、社会の現実が創出される場と、それを捉えようとする知的営為の場のあいだの往還運動のなかで形成される。

ひとびとが生活している現実世界を「社会」という視角で捉え、そのための理論と方法を追求する社会学の創成は、日本では、大正期に、賀川豊彦や米田庄太郎によって、関西に生まれている。その理由として、(1)大阪を中心とする資本主義の急速な進展、(2)東京における社会科学は国家中心であることの2点が挙げられる。

一方、今日、関西経済は地盤沈下し、地域の相対的自立性を保持するための想像力は、大阪万博の二番煎じや、IRという名の賭博産業開発といったアイデアしか生み出さない。淡路島では、島外の人材派遣業のような企業が、土地を買い占めまくり、リゾート開発のほかに、一見「文化的」な劇場を建設しようとしたりしている。これは、地域そのものの経済、社会、文化的な生産能力が収縮している状況を示している。

以上のような問題意識に基づき、本シンポジウムでは、「これからの社会」を考えるために、かつての賀川・米田が捉えようとした拡大過程にある社会、そして、今日我々が直面している社会が収縮していく過程を同時に、捉えようとする試みである。

具体的には、「これからの社会」関西における地域経済と自治体の関係や、そこで生じる労働問題、阪神・淡路大震災がもたらした社会・文化の変容、さらには、敗戦後から、今日に至るまで、戦前の社会学的な理論認識はどのように、継承され、かつ新たな展開を遂げているのかなどについて問うていく。

報告者

荻野昌弘(関西学院大学)*主旨説明も兼ねる

稲津秀樹(鳥取大学)

長松奈美江(関西学院大学)

岡崎宏樹(神戸学院大学)

討論者

宇城輝人(関西大学)

阿部真大(甲南大学)

司会

梅村麦生(神戸大学)

(研究活動理事 荻野昌弘・梅村麦生)