2023年度第74回関西社会学会大会のご報告

2023年5月13日(土)〜14日(日),関西社会学会第74回大会は,京都先端科学大学にて対面で開催されました。4年ぶりの対面開催ということで,一般研究報告は15部会59報告。参加者も多く,いずれの部会でも活発な議論が展開されました。またオンライン開催で蓄積した大会運営の方法(特設サイトでの参加申込,参加費の事前振込など)を一部継承しつつ,報告要旨集はPDF化し,一括ダウンロード形式を導入するなど,新たな試みも進めました。

2020年に始まった「自著を語る〜MY FIRST BOOK〜」も継続して開催しました。今年度は対象者を広げたこともあり,2部会での開催となり8名が,著書に込めた思いを語ってくれました。またFIRT BOOK刊行までの著者や編集者の思いを聞こうと,部会には溢れんばかりの参加があり,熱い議論が展開されました。

開催校シンポジウム「京都を複眼的に解き明かす」は,開催校である京都先端科学大学の先生方による学際的なシンポジウムとなりました。京都先端科学大学の人文学部に昨年発足した京都を対象としつつ普遍的な知の体系の構築を目指す「国際キョートロジー・センター」を中心に,文化社会学,日本史,コミュニティ論・フィールドワークの視点から京都に迫るシンポジウムとなりました。参加者は約30人。司会は竹内有子さん,報告者は,演劇を中心に文化の社会学を専門とする川田耕さん,日本近世史を専門とする鍛冶宏介さん,コミュニケーションの社会学を軸にコミュニティ研究を手がける岡本裕介さん。討論者は大会実行委員長でもある佐藤嘉倫さんでした。

大会シンポジウム「社会学と在日朝鮮人研究」では,在日コリアンの集住地区が点在し,研究のひとつの拠点として多くの知見が蓄積されてきた関西において,社会学のなかでの在日朝鮮人研究の意義を検討することをめざし,関西社会学会を代表する中堅の研究者に登壇していただいた。参加者は約50人。司会は高谷幸さん(東京大学)と蘭信三さん(大和大学)。報告者は李洪章さん(神戸学院大学),徐阿貴さん(福岡女子大学),川端浩平さん(津田塾大学)で,コメンテーターは板垣竜太さん(同志社大学)と片田孫晶さん(立命館大学)。ジェンダーの観点やラッパーという活動から読み解くことで在日朝鮮人研究の「現在地」をおおいに知る契機となりました。

なお,自著を語る,開催校シンポジウム,大会シンポジウムについては次号『フォーラム現代社会学』で詳しくご紹介させていただく予定です。

久しぶりの対面開催となり,慣れない中で大会を運営いただきました京都先端科学大学実行委員会,司会担当の先生方をはじめたくさんの方々のご支援により,無事に大会を終えることができました。

皆さまのご協力に心より感謝申し上げます。

(研究活動委員長 平井晶子)

—以下は大会関連の告知内容のリンク先です。—